*

impulse housing net

UPDATE: '06.04.20

住宅産業マガジン                           = '06.4.19 No.95 =  

CONTENTS
 ■近未来住宅「イーユーハウス」は環境配慮とユニバーサルデザイン
   〜松下グループが提案、東京・晴海に建設された試験ハウスを公開〜
 ■編集後記:最終号です。5月からブログ版へ

----------------------------------------------------------------------

◇ 近未来住宅「イーユーハウス」は環境配慮とユニバーサルデザイン ◇ 
〜 松下グループが提案、東京・晴海に建設された試験ハウスを公開 〜

◎/松下グループが提案/

 近未来の住まいと暮らし方は、どう変わっていくのだろうか?。誰もが気になるところである。住宅供給業者なら少しでも時代の流れを先取りしたプレゼンテーションを心がけたいのが人情である。松下電器・松下電工・パナホームの松下グループが提案している近未来住宅「Eco & Ud HOUSE(イーユーハウス)」は、時代を先取りするヒントになるだろう。

 このイーユーハウスは2010年頃を想定し、快適で豊かな生活空間と「新たなくらし価値」を提案。東京・有明の「パナソニックセンター東京」敷地内に建設されている。今年の1月から公開されているが、1日あたり100〜150人の来場者があり好評だという。

◎/環境効率「ファクター5」を設定/

 建物は運営棟と住居棟から構成されており、住居棟の延べ床面積は263m2(1階121.28m2、2階142.41m2)。夫婦・娘・祖母の4人家族が快適で豊かな暮らしができる想定になっている。その指標として環境効率「ファクターX」の考え方を導入。2010年を想定し、1990年と比較して生活の質を2倍に向上させ、環境への影響レベルを0.4倍に減らすファクター5に設定している。

 イーユーハウスのECOは環境配慮、UDはユニバーサルデザインということであるが、まず環境配慮では、家庭用燃料電池コージェネレーションシステムを中心に、太陽光発電を補助に使い、HEMS(ホ−ムエネルギーマネジメントシステム) でお湯や電気を効率的に使う創エネ・省エネのライフスタイルが提案されている。
 また、真空断熱材(U‐Vacua)を外壁、バスタブ、シャッターなどに利用することで、空調や給湯負荷を低減し省エネを図っている。

 ユニバーサルデザインでは、床の段差を極力なくし、車椅子を利用される方にも使いやすいように広い通路を確保。居住者の将来も想定して手すりや握りバーも要所に配置し、家具や造作の角を丸めている。  また無理な姿勢で操作をしなくてもいいようにビルトイン機器は最適な高さに配置。座って調理ができるキッチンや、楽な姿勢で使えるバス・洗面などの工夫、わかりやすい操作ボタンや音声案内など誰もが使いやすいアイデアが随所に盛り込まれている。

 ファクター5として提案されている各展示ゾーンは次のとおりである。
◇コンセプトルーム
 イーユーハウスのコンセプトとして、UDに基づいた「生活の質の向上」と、創エネ・省エネによる「環境への影響の削減」を映像で紹介・解説。

◇インテリジェントセキュリティ玄関
 集合住宅やオフィスビルの入退室用虹彩認証システムや、RFIDタグ(特定小電力無線技術)を利用したスマートエントリーシステムで、鍵を持たなくても確実に家族を認証でき安心安全なくらしが体感できる。

◇エネルギーコーナー
 2010年を想定した家庭用燃料電池コージェネレーションシステムを電気/熱エネルギーインフラの中心として構成し、燃料電池の排熱を利用した床暖房やデシカント除湿、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)による電気や熱利用で、燃料電池の効率的な運用の実現を目指す。

◇生体活性バス・サニタリー
 心身ともに健康になる生体活性機能によるバス(ゲンキ浴システム)や覚醒照明、ユニバーサルデザインに配慮した洗面(ワゴンスツールや子供用の踏み台) や、ランドリールームを別空間にすることで家事の効率アップと防湿機能による室内干しを提案。

◇エコ・UDキッチン
 キッチンを生活やコミュニケーションの中心と位置づけ、ダイニングルームと一体となったアイランド型を前提に、UD配慮で誰もが使いやすく省エネと快適性が両立したキッチンを提案。

◇ユビキタスリビング
 ユビキタスネットワーク社会の進展とともに大画面デジタルテレビは「情報の窓」に進化していくと想定され、情報が重要になって行く。情報カテゴリーをエンターテイメント、コミュニケーション、セキュリティ、エコロジーの4つのウインドに分け、従来のエンターテイメントだけではない、新しいデジタルテレビのあり方が体験できる。

◇ハイクオリティホームシアター
 建築躯体、収納家具、設備機器や家電製品をトータルコントロールすることで、最高のシアターソリューションを提供。楽な姿勢のまま手元で機器の操作や、部屋の視聴モードが一元的にコントロールできるなど、ホームシアターのUDのあり方も提案している。

◇快眠寝室
 光・寝具・映像・音響・空質など睡眠に影響を与えるさまざまな要素を適正に制御することで、入眠誘導から睡眠・覚醒まで快適な眠りと目覚めを実現できる寝室を提案。

 ひととおり見学しての第一印象は、どうしても目で確認できたり、触って実感できるものに向いてしまうのであるが、ホームシアターの映像と音響の迫力には感心してしまった。見学者の家族連れはバスルーム、キッチンに歓声を上げていたし、台湾から来たというグループはユビキタスリビングに興味を示していた。
このへんは人それぞれでおもしろい。

◎/エネルギーのインフラは燃料電池/

 次にもう少し詳しく、提案されている技術と背景をみていきたい。まずは実用化の期待が大きい家庭用燃料電池を中心としたエネルギーシステムである。
 イーユーハウスにおけるエネルギーシステムは太陽光発電(4kw)、C02HP給湯機そして家庭用燃料電池(FC:Fuel Cell)コージェネレーションシステムで構成されている。

 2010年を想定しているイーユーハウスでは、本格普及を目指す家庭用燃料電池コージェネレーションシステムによる電気/熱エネルギーのインフラを中心として構成し、床暖房やデシカント除湿、HEMSによるユーザーにとって有効な電気利用(食器洗い乾燥機や生ごみ処理機の夜間電力利用)や熱利用(お湯はりの最適時刻アドバイス)の提案などを行うことにより、FCの効率的な運用を実現している。
 機械と自然換気を併用するハイブリッド通風換気システムによる省エネ技術も提案されている。

 電気と熱エネルギーを有効利用するためにエネルギーマネージメントシステム(HEMS)が設置されており、エネルギーの使用状況を確認し最も省エネに適した運転を促すナビゲーターとなっている。表示される液晶モニターは見やすい。

◎/ホームエネルギーを適切に管理/

◇エネルギーモニタリング機能

 FCコージェネレーションの動作状態や電気と給湯(熱)の使用履歴などを蓄積し、どの表示端末からでも簡単にモニタリンクできる。このモニタリンク機能は、住い手のエネルギー利用意識を啓発し省エネ行動を誘発することができるため、ホームエネルギーマネジメントの基本機能となる。

◇家電機器の電気利用アドバイス機能
 家庭での電気と給湯(熱)の利用における量的または時間的なアンバランスによって、FCコージェネレーションは必ずしも効率のよい運転ができない。例えば、電気利用に対して給湯利用の量が少ない場合やタイミンクが遅れた宅合には、貯湯タンクの蓄熱能力が限界となり運転が停止されてしまう。

 このような場合の電気は、従来と同じ買電となるためにFCコージェネレーションのメリットを十分享受できなくなる。そのため、ホームエネルギーマネジメントシステムでは、FCコージェネレーションの運転をより効率的に動作させるための電気と給湯(熱)の利用を考慮できる(アンバランスを是正できる)システムを提供している。

 電気利用の観点から見れば、近年の家電機器には食器洗い乾燥機・洗濯乾燥機・生ごみ処理機など、比較的消費電力が大きく、かつ稼動時間を多少シフトさせても快適性利便性を著しく損なわないものが増えている。これらの家電機器をFCコージェネレーションの運転がより効率的になる時刻に動作(負荷シフト制御)させることで、結果的に省エネ省コストを実現することが可能となる。
 住い手に家電の負荷シフトを啓発する画面が、壁に設置されたモニターに表示される。各家庭での電気と給湯(熱)の利用状況とFCコージェネレーションの運転状況から、あらかじめシステムが計算した結果を、電気利用の奨励時間帯と削減時間帯としてわかりやすく表示される。

 これを見た住い手が削減時間帯に利用していた機器を奨励時間帯に利用をシフトすることで、FCコージェネレーションがより効率的に動作し、結果的に省エネ・省コストが実現できる。また,シフト対象家電に対してはシフト推奨時刻とシフトした場合の効果を算出し表示することができる。

 住い手は、これらの情報を参考にしてタイマーなどを利用してシフト推奨時間帯に家電利用することが可能となる。現状では住い手による手動でのシフト操作となっているが、今後はネット家電との連携により自動設定・自動シフト運転が可能となり、より簡単なシフト制御が可能となる。

◇給湯(熱)の利用アドバイス機能
 FCコージェネレーションでは、貯湯タンクの蓄熱能力が限界となると運転が停止されるなど効率が低下する。これに対して、給湯の有効利用を促進する機器(例えば、デシカント除湿など)との共存が有効である。 この際,電気利用時と同様に給湯(熱)機器の利用時間に対しても効果的にアドバイスを行う。

◎/家電ネットワークで情報を集約/

 今回の各種提案のなかで最も松下グループらしいといるのは、次世代のデジタルテレビコンセプト「情報の窓」だろう。その概念を次のように説明している。
 テレビは大画面・高画質化が進む一方で、さまざまな住宅設備や家電がネットワーク化され、将来家庭内の総合的な情報集約機器になる可能性がある。

 それを「情報の窓」というキーワードで、家庭内外のさまざまな情報をリビングに居ながら積極的に活用するというコンセプトを構築した。従来の放送や映画などの高精細な画像を映す「エンタテインメント」の役割に加えて、遠隔地の人々との「コミュニケーション」機能や家庭内のモニタリンクによる「セキュリティ」機能、エネルギー消費を管理して環境に寄与する「エコロジー」機能の4つの機能を持っている。

 イーユーハウスでは、GUI(Graphical User lnterface)と専用のリモコンモデルを開発し、各機能を操作しながら具体的に体験できるデモンストレーションシステムを構築した――としている。

◇エンタテインメントウインドウ
 エンタテインメント機能は、テレビとレコーダーを統合操作できることを前提に、ユーザーが目的とする「見る」「録る」「消す」「残す」という4つのメニューで構成されている。

◇コミュニケーションウインドウ
 コミュニケーションには、テレビ電話とメールの機能を有している。特に、フェイス・トウ・フェイスの映像コミュニケーションヘのテレビの可能性をアピールしている。

◇セキュリティウインドウ
 セキュリティ機能は、防犯意識が高まる中、テレビで簡単かつ習慣的にチェックできる簡易なシステムを目指している。

◇エコロジーウインドウ
 エコロジーの機能は、イーユーハウスのホームエネルギーマネジメントシステムの運転状況をボタン一つで確認できる環境を実現する。エネルギー機器や家中の機器の状態が気軽に確認できるようになると、無駄なエネルギー消費を減らす意識付けに大きな影響を与える。

 住宅のIT化は将来大きく進展していくものと思われ、その期待も大きい。たとえば、ハイブリッド換気では内外温度を検知し、自然換気・機械換気を自動的に切り替えたり、地震情報を入手し、居住者に知らせ、自動的にガス供給を止めたりすることが可能になる。

 また、イーユーハウスでも取り入れているエネルギーモニタリンク機能は、エネルギーの使用量を表示することで居住者に節約を意識させる効果を生んでおり、省エネ化に大きく貢献するだろう。

 こうしたIT化が進歩していく一方で、ローテクといわれる昔ながらの生活の知恵といった技術に対する見直しも大切で、イーユーハウスにおいても内壁の珪藻土、屋上緑化、雨水利用などが提案されている。
 2010年にファクター5を実現させようというのがイーユーハウスの目的であるが、その生活スタイルがどのようなものであるかを具体的に提示した意義は大きく、少しでも時代を先取りしたいと思っている人にとっても参考になるだろう。

----------------------------------------------------------------------

【編集後記】この95号を持ちましてメール版による「住宅産業マガジン」の最終号です。5月からはブログ版「住宅産業マガジン」に引き継がれます。ブログ版では写真やイラストを使ったビジュアルな“誌面”づくりに努力していきます。
引き続きご愛読、よろしくお願い申しあげます。
 http://www.impulse.co.jp/blog/index.html

======================================================================

・記事の無断転載は禁じます。
・発行・編集人:ハウジング・アナリスト 松下寛光
・問い合わせ先:matsushita@impulse.co.jp
・発行所:(有)インパルス
     186-0005 東京都国立市西2-9-1-202
     TEL&FAX:042-580-7669
     ホームページ http://www.impulse.co.jp