携帯電話を活用した現場管理
〜 画像データを共有したコミュニケーションは有効か 〜
住宅業界で最もムリ、ムラ、ムダが多く、効率化が遅れているのが建設現場である。現場はまったくのアナログ世界で、現場監督や職人に努力を強いるしか対応しきれないのが現実であった。
だが、徐々にではあるが現場にもインターネットを活用した技術が導入されようとしている。現場の進捗情報をデータベース化して、これらの情報を事務所、現場監督、職人など関係者全員が共有することで効率をあげようというものである。
具体的には、携帯電話のデジカメ機能を使って現場監督なり職人が現場の状況を撮影してその場で送信する。そのデータをサーバが記録、保管する。さらに、インターネットを介して管理者や他の職人など現場に関係している人がWeb上で確認するというものである。
これにより、現場の情報をほぼリアルタイムで確認できるため、次の工程への対応が早くなる。また、施主にも情報を公開すればユーザー満足度が高まるという期待もある。
こうした現場管理システムの考え方は、以前からあったのであるが、携帯電話のデジカメ機能が向上するまで難しかった。携帯電話で対応できない時は、普通のデジカメで現場を撮影、その場でパソコンに画像を取り込み、添付メールなりFTPでサーバに送るしかなかったからである。
パソコンを使い慣れた人であれば、それほど難しい操作でないが、「現場で働く職人はパソコンなど使わないし、持ち歩かない」の一言で非現実的なシステムと片づけられてしまった。それに比べて携帯電話であれば職人も使っているし操作も簡単である。
◎現場関係者のコミュニケーションツール
「目視録」と名付けてインターネット施工現場情報共有システムをASP(Application Service Providerの略)で普及させようとしているのが「エー・エス・ディ」である。同社では「黙示録」の導入効果を次のように説明している。
◇施工現場の遠隔管理による業務効率アップ
・現場から離れた事務所にいても、施工現場の状況をいつでも見ることができる。
現場と事務所間の距離と時間がなくなる。
・遠隔地から的確な指示を送ることができるので、現場責任者が現場に行かなくても、現場が止まらず施工がスムーズに進む。
・現場の生産性が向上して、工期の短縮が図れる。
・工事ごとの出来高確認や管理に使える。
◇施工品質の向上
・施主も含めた関係者全員が、工程ごとの施工管理ポイントを確認することにより、現場の品質に対する認識が高まり、クレームが減る。途中変更も関係者間で合意しながら進められるので手戻りが減少する。
・施工管理ポイントが明確になり、現場管理ノウハウが蓄積できる。
・施工情報は完成後も品質記録として保存できるので、リスク管理などに役立つ。
◇ユーザー満足度と紹介営業の増加
・施主はパソコンを利用して、いつでも施工の進捗状況を見ることができるので、顧客満足度が向上する。
・施主とのコミュニケーションが円滑になり、紹介営業につながる。
・記録されている施工情報を活用することにより、アフターメンテナンスのサポートが容易になる。
こうしたインターネット施工現場情報共有システムを導入することによるメリットを発揮できるかどうかは、住宅メーカーや工務店の意識改革にかかっているといえる。
何か新しい販促ツールのように捉えているレベルでは長続きしない。このシステムは現場にたずさわる関係者全員のコミュニケーションツールである。写真という分かりやすいかたちを通じて、業務連絡や的確な指示を出すときに威力を発揮する。
たとえば、現場でトラブルが発生した時に、その状況や原因を知るために現場から画像か送られてくれば、遠隔地にいる人もその解決策に参加できる。そうしたトラブル情報を共有して、いち早く解決しようという全員のコンセンサスがあれば大いに威力を発揮するだろう。
しかし、トラブルの責任を追及するためにだけ、活用されるようであれば、逆効果を招くことになる。その情報を施主も見ていれば信頼関係にも悪影響を及ぼすことになるだろう。建設現場に限ったことではないが、情報開示は“諸刃の剣”でもある。
| ホーム | <ブログ>M's style | 業務案内 | プロフィール | アジア木造建築 |