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UPDATE: '04.06.18

関心高まるホームセキュリティー
 〜 住まいへの侵入犯罪が急増している 〜

 自分の身の安全は自分で守る、というのはいわば常識であり、少なくとも諸外国ではあたりまえの慣習として一般市民にも浸透している。ところが、わが国にあっては“水と空気はタダ”と同様に安全もタダのように考えている嫌いがある。

 それだけ、日本は安全で治安が良い国ということであり、それはそれで結構なことである。しかし、海外旅行に出かけてスリ、かっぱらい、置き引きなどの被害にあう人が多い。ガードがあまいためカモにされているのであるが、当地の警察に届けても命に別状がなくてよかったと、まともな捜査すらしてもらえない。

 ところが、世界一安全な国といわれた日本の“安全神話”にも陰りが出てきている。一般市民の身の回りに起きる物騒な犯罪が増えているからだ。銀行帰りの人を狙ったひったくりなど路上犯罪に加えて、空き巣ねらいも多発するようになった。  こうした社会不安を受けて、ホームセキュリティーへの関心が高まっている。

◎約7割が防犯設備に投資したい

 警視庁の調べによると、平成14年中の都内における空き巣ねらいの認知件数は21,123件(前年比2,637件増)で、多発傾向にあるという。  一般住宅対象の空き巣ねらいの約7割が「ガラス破り」、マンションなど共同住宅対象の空き巣ねらいの約4割が「ピッキング」、約2割が「ガラス破り」による侵入となっている。

 (財)ベターリビングがまとめた一般消費者を対象としたアンケート調査によると、「防犯グッズ関心を持って利用しているか」の問いに対して「はい」がわずか14.7%で「いいえ」が77.4%と8割弱を占めている。

 また、「防犯設備面への投資意向」では「投資意向あり」67.1%、「わからない」18.0%、「設備対策は考えていない」13.5%であり、7割弱の人が防犯設備に投資したいと考えている。

 防犯グッズは利用していないが、防犯設備には投資したいと、ちょっと矛盾した像が浮かんでくる。これは、具体的にどのような対策を取るべきなのか、消費者がよく分かっていないのかもしれない。

 となれば、住宅供給業者サイドが適切な提案をすることで、防犯対策ニーズに応えた付加価値の高い住宅を供給するチャンスでもある。現実にホームセキュリティー市場ともいえる新しい市場が形成されつつある。

 ところで、住宅の防犯対策を紹介しておこう。
<開口部・窓>
▽窓用防犯金具
 バルコニーに面した窓には、ロック機構付きクレセントが設置されているか、または上かまちや下かまちに、補助錠(サブロック)が設置されていること。
 錠付きクレセントに補助錠を併設するとさらに有効。

▽破壊に強い合わせガラス
 バルコニーに面した窓に、2枚の板ガラスの間に樹脂製の膜を挟み込んだ破壊に強い合わせガラスが採用されていることが望ましい。その場合、避難経路や消防隊の非常用進入口の確保に配慮されていること。

▽雨戸・シャッター
 サッシ一体型など破壊や取り外しが困難な雨戸・シャッターが採用されていることが望ましい。

▽面格子
 洗面所、トイレ、キッチン、浴室の窓などに、破壊や取り外しが困難な面格子が設置されていることが望ましい。サッシ一体型が最適。 ▽防犯センサー  センサーライトやマグネットスイッチなどが必要に応じて設置されていることが望ましい。

<開口部・ドア>
▽ピッキングや破壊行為に強い錠
 ピッキングや破壊が困難な構造の錠前がドアに設置されていること。ピッキングに強いシリンダーとして、全国防犯協会連合会が認定した「CP-C錠」がある。

▽補助錠やガードプレートの設置
 主錠のほかに補助錠を取り付け、「ワンドア・ツーロック」にしてあることが望ましい。 侵入盗は、侵入に5分以上かかると約7割があきらめることから、できるだけ侵入に対し時間がかかる対策をとることが重要。

▽ドアのすき間からデッドボルト(かんぬき)が見えない構造
 勝手口は、周囲から見えにくい位置にあるうえ、玄関に比べて防犯対策がおろそかになりがち、玄関と同じ程度の防犯対策を施すことが重要。

▽郵便受け対策がされ、ドアスコープ、ドアチェーン、テレビドアホン、防犯センサーなどが付いている
 ドアに郵便受けが付いている場合、取り付けが強固で、手などを差し込んで開錠できないように内蓋などが設置されていること。
 テレビドアホン、防犯センサーなどが設置されていることも有効。
 ドアスコープは不審者の確認や押し込みなどに効果的。ただし、ドアスコープを破られ、「サムターン回し」をされた事例もあるので、設置には充分な注意が必要。

▽明かり取り用ガラスの対策
 玄関ドアやその周辺に明かり取り用ガラスを設ける場合、ガラスを破って「サムターン回し」がされないように、できる限り小さく取り、サムターンから離れた位置に設置するか、破壊に強い合わせガラスが採用されていることが望ましい。

▽引戸の対策がされている
 ねじ締り破りに強い構造とするため、引戸のすき間を覆う部材を採用してあること。
 ガラスを採用する場合は、細めの格子を設けるとともに、ガラス部分をできる限りサムターンなどから離れた位置に設置するか、破壊に強い合わせガラスが採用されていることが望ましい。
 ――といった対策が必要である。

◎開錠技術を悪用する犯罪も増加

 警視庁がまとめた「住宅等侵入犯罪の情勢」をみると、「ウチに限っては大丈夫だろう」といった楽観的な気持ちでいられない報告がされている。

 侵入強盗の認知数は2,335件(平成13年度中)であり、過去10年間で119%増加している。被害場所別にみると、最も多いのは店舗46%、次いで事務所等18%、マンション等17%、一般住宅14%の順となっている。

 また、侵入強盗に伴う身体犯も過去10年間で大幅に増加しており、住宅への侵入強盗強姦の90%はマンション等で発生している。マンションへの侵入手口はピッキングが最も多い。カギは技術的に年々進歩して開錠が難しくなっているものの侵入者の手口も高度化しイタチごっこ的な様相を示しているようだ。

 なかでも、鍵取り扱い業者は開錠技術を知っているだけに、最も犯罪に近い立場にいるということになる。まじめな鍵取り扱い業者には迷惑な話であろうが、開錠技術を悪用して犯罪を犯す者もいる。いくつか事例をあげておこう。

 開錠サービスなどを行うカギ店の経営者が、女性宅にピッキング用具を使用して侵入し、脅迫したうえ、わいせつ行為をした。(大阪府)

 開錠学校に通って開錠技術を習得した被疑者(日本人)がピッキング用具を使用して空き巣ねらいを行い、関東一都六県で222件、被害総額8,700万円相当を窃取した。(埼玉県)

 被疑者(日本人)が社員を錠前技術講習会に参加させ、開錠技術を習得した同社員から知り得た技術を利用、組織的にピッキング用具使用による空き巣ねらいを行い、福岡、大分、山口など都府県で約230件、被害総額1億5,200万円相当を窃取した。(福岡県他)

 主に錠前製造メーカーで組織している日本ロック工業会では、ピッキング用具を使用した侵入犯罪が増加している原因を次のように分析している。

 錠前を取り扱う業者だけが持つべき専門の道具(ピッキング用具、カム送り開錠用具、サムターン回し用具等)が、モラルのない者により、金儲けのためだけに通信販売等で売られている。

 テレビや出版物等で、開錠のスピードを競わせる企画や開錠方法を公開する企画が行われており、視聴者や読者が開錠を真似るおそれがある。

 ピッキングやその他の開錠方法を教える学校が、あたかも高収入を保証するかのような広告により若者や失業者を入校させている。また、その学校で開錠技術を習得した者が、いつでもどこでも開業・廃業することができてしまい、開錠技術を悪用して犯罪を行うおそれがある。

 ――と、原因を分析している。侵入犯罪を防ぐために開錠の難しいカギを供給するほど、開錠技術を身につけた者は特別な存在になり、犯罪への誘惑に駆られるといえるかもしれない。今後、錠前取扱業者の許可・登録の制度化など何らかの対策が必要だろう。

 今回、いろいろホームセキュリティーのことを調べてみたが、ピッキングひとつにしてもけっこう奥深い問題があることを知った。

◎官民合同会議が建物部品の目録作成へ

 行政サイドでもホームセキュリティーに対する動きを見せており、警察庁と国土交通省との共催により、関係省庁、建物部品関連の民間団体からなる官民合同会議を設置し、防犯性能の高い建物部品の開発・普及の検討が平成14年の11月からスタートしている。

 官民合同会議の主旨をみておくと、最近の犯罪情勢は、刑法犯認知件数が7年連続して戦後最多を更新。特に、住宅等の建物に侵入して行われる犯罪が急増している。

 また、犯行の態様も組織的に短時間で敢行するものが多く見られるようになり、侵入強盗に伴う身体犯も多くなっている。  このような情勢から、これまでにも増して、錠の改善等設備面での防犯対策の必要性が高まっている。

 とりわけ、サムターン回しを始めとする錠以外の部分の弱点を衝いた侵入手口が増加しており、従来のように、警察と錠製造業者などが連携して錠の構造の在り方を検討することのみでは十分な対応ができない。

 ピッキングによる侵入は、平成13年に減少を見たものの依然として多発しており、他の侵入手口による犯罪は増加の一途にある。
 バールを用いた戸・窓のこじ開け、ドライバーを用いた窓ガラスのこじ破りその他の手口の対策を総合的に検討していく――としている。  これらの総合的な検討結果については、このほど防犯性能の高い建物部品の型式の目録が発表された。  http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha04/07/070401_.html