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impulse housing net

UPDATE: '04.09.13

“ユーザーが主役”という慣用句を見直す
 〜 生活に密着したネットコミュニティーの構築を 〜

 世の中“ユーザーが主役”といわれて久しいが、住宅業界にあっては、この認 識をもっと掘り下げて考えなければいけないことを痛感させられる。 というの は“ユーザーが主役”という意味をいまだにお客にへつらうことだと思っている 住宅供給業者も多いからだ。ひところ流行った“お客様は神様です”と似たよう な感覚で捉えているところがある。

 本音は、お金を払うのは、ユーザーだから黙って話を聞くが(場合によっては しゃべらせておくが)、素人には分からない世界なんだから、プロに任せておけ ばいいんだょ、という思いが頭の片隅にあるに違いない。

 あるユーザーがリフォーム工事の見積を指して「諸経費が10%計上されていま すが、これはどのような費用なんですか」と質問した。

 その業者は「そのくらいが世間相場です」と答えたという。ユーザーはそれ以 上話を続ける気がなくなり、その業者を依頼候補から外したという。もし本当に その業者が”ユーザーが主役”と考えていたなら、もう少し違った回答ができた はずだ。

 ユーザーの素朴な疑問に対して、業界の古くからの慣習を押しつけて、はぐら かしたのではユーザーは逃げていく。ユーザーは諸経費の存在を否定しているの ではなく、何に使われるのかを聞きたかったのであり、納得できれば合意したか もしれない。

 現にこうした質問に限らず、あらゆるユーザーの疑問や質問に、時間をかけて 丁寧に答えている業者のところには仕事が絶えないようだ。そんなわけで、”ユ ーザーが主役”という慣用句を、いまいちど考え直す必要があると思う。

 消費者マインドを知る方法はいろいろあるが、インターネットの世界には多く の消費者マインドを知るための情報があるので、活用すべきだろう。「住宅ねっ と相談室」(http://www.so-dan.net/index.html)は、一般消費者の住宅に関す る相談に、建築士や弁護士などの専門家がボランティアでカウンセリングを行っ ているサイトである。

 非常にわかりやすい構成で、マンション、戸建て住宅、土地、街・コミュニテ ィ、コミュニティ型住宅、賃貸住宅、リフォーム、インテリア、その他と分類し た項目ごとに無料で相談を受けており、カバー範囲が広いだけでなく、第3者の 立場から丁寧な回答が好評のようだ。
 相談内容と回答はQ&A形式で公開されており、その件数は2万件を超えてい ることから消費者に支持されているとみていいだろう。

■業者と消費者の立場で情報の温度差拡大

 「欠陥住宅苦情ネット」(http://www.kekkannet.addr.com/)は被害者と購入 予定者の為のネット。欠陥住宅を撲滅するための市民運動(非営利団体)と銘打 ったサイト。実に多岐にわたる欠陥住宅を掴まされた消費者の投稿とそれに対す る意見などが公開されている。

 これから家を建てたり購入したりするための相談ではなく、すでにマイホーム を入手した人の被害報告が多いため、その中身は生々しいものが多い。いくつか 読んでいるだけで、欠陥住宅もしくはそう思われる住宅に住んでいる人の感情が どのようなものかが伝わってくる。

 業者の企業名が実名ででてくる投稿も多く、業者サイドにとって掲載されると 営業的なダメージを受けることになるだろう。一方、消費者サイドにとっては業 者選びの参考になるというわけだ。

 二つのサイトを紹介したが、こうした消費者を中心としたネットコミュニティ ーといえるサイトは相当数にのぼっており、インターネットの普及がもたらした ものといえる。機関誌など紙によるアナログ対応に比べて、どれだけ簡単、スピ ーディーに運営できるかはいまさらいうまでもないことである。

 それにしても、インターネットの発展は業者サイドと消費者サイドが発信する 情報の温度差を露わにすることになったように思う。たとえば、業者側のHPに は「○○ハウス入居者の喜びの声」といった施主の体験談と住宅が紹介されてい るページがある。その目的はカタログなどと同様、PRであるから業者側の意図 のもとに構成されており、それに施主が協力していることになる。

 それに対して、消費者コミュニティ系のHPには、「○○ハウスに欠陥住宅を 掴まされた」「騙されない業者選びをするのはどうしたらよいか」といった情報 であふれている。
 このような情報の温度差というか違いが同時に見ることができるのは、インタ ーネットの発展していなかった時代には想像もできなかったことである。

 先の話にもどるが、“ユーザーが主役”といいつつもユーザーをないがしろに していると、とんでもないしっぺ返しを食らう時代になりつつある。そうした自 覚のない住宅供給業者はまだまだ多い。そこで、消費者マインドを知りユーザー からの信頼を得るために、時々「住宅ねっと相談室」や「欠陥住宅苦情ネット」 などのサイトをチェックしておくべきだろう。

 ネット上で住宅相談に応じているボランティアのカウンセリング以上の専門性 とプロ意識を持ってプレゼンすれば、自ずと信頼関係を築くことができるであろ うし、“お客様は神様です”などと、へつらう必要もなくなるだろう。

■生活産業という視点に立った展開が必要

 住宅業界のHPは、チラシやカタログ代わりからスタート、住まいづくりのノ ウハウ提供というかたちで進展して現在にいたっているが、今後はネットコミュ ニティづくりに力を入れていくべきだろう。

 ○○ハウスが主催しているネットコミュニティに参加すると便利で楽しいこと があるといったものである。いまでも、最新情報やイベントの案内をメルマガで 知らせてくれるなどの情報交流が行われているが、これをもっと活発化させたも のなるはずだ。

 理想的には、ネットコミュニティの参加者全員が共通の目標に向かって行動を 共にするといった形態が望ましい。こうしたことを営利目的の企業が主催できる かどうか、難しい問題であるが、不可能ではないだろう。

 テーマとしては環境問題などが取り組みやすい、たとえば太陽光発電システム を導入したOB客に太陽エネルギーで発電した電力量を報告してもらい、それを ベースにクリーンエネルギーの話題をネット上で議論する場を提供する。

 また、子育てやペットの話題やハウツウをテーマにあげてもいいだろう。不要 になった「乳母車あげます」といった掲示板への投稿から、生活便利情報の交流 の場に進展するかもしれない。

 特に、地域密着で営業展開している工務店は、OB客や見込み客を対象とした ネットコミュニティを作りやすい立場にある。地元の人たちに役立つコミュニテ ィが活発化すれば、工務店にとってもメリットが出てくる。

 住宅産業は単に住宅を供給するだけでなく、さらに枠を広げて生活産業という 視点に立った展開が必要である。こうした視点に立つと扱う話題も豊富になり参 加者も募りやすくなるだろう。

 かつて、インターネットが登場した初期の頃、低コストで誰もが世界中に情報 が発信できるともてはやされたものだ。それはいまでも変わらないことであるが、 インターネットの仕組みが分かり一般家庭に浸透してくると、誰も世界中に情報 発信できることに素朴な憧れを持つようなことはなくなった。

 それは、受話器をあげて番号を入力すれば世界中の人と話ができることと同じ レベルであることに気が付いたからである。つまり、明確な目的がなければ世界 中にコンタクトできるといっても使い道がないということである。

 むしろいまでは、不動産情報などが典型的な例としてあげられるが、地域やエ リアを限定した密度の濃い情報を発信しているサイトの方が人気がある。住宅も 同様で身近な生活情報を充実させて、地域の人を対象にしたサイトの構築に力を 入れるべきだ。