アレルギー、化学物質過敏症の人たちの建材
自然素材を徹底追及している――小さな建材店<1>
今回から「自然素材を徹底追及している――小さな建材店」を3回シリーズで 紹介したい。
◎自然と人間の関わりを大切にしたい
シックハウス症候群が社会問題になって以来、室内の空気質環境をクリーンに
保ちたいというニーズは高まるばかりである。こうしたニーズの高まりと共に注
目されているのが、自然素材をベースにした建材である。
化学物質を発散させるビニールクロスを廃して、珪藻土による塗り壁を採用す る工務店も増えている。また、自然素材を巡っての議論も盛んになった。たとえ ば、珪藻土の塗り壁にしてもバインダー(つなぎ剤)に化学物質を含んだものが 使われているといったこともあったし、身近に施工する職人がいない、コスト高 をどう吸収するか、などなどである。
こうしたなか、筆者の住んでいる東京・国立市に自然建材店「レイン・ファー ム」という小さな建材店らしからぬ店が2年ほど前からある。この店の前を通る たびに、窓越しに展示してある建材を覗くなどしていたのであるが、今回、連絡 を取って取材を試みた。
対応してくれたのは、この店を取り仕切っているHさんであった。この店は埼 玉県の設計事務所テクノプラン建築事務所が、「アレルギー、化学物質過敏症の 人たちの建材」を知ってもらうために開設したという。
「うちの事務所は、自然エネルギーを活用した建築物を手掛けていくうちに、 自然素材にも関心を持ち、自然と人間との関わりを大切にした仕事をしています。 アレルギーや化学物質過敏症の人からの設計依頼も多く、たまたま国立に住ん でいる人の家を手掛けた縁で、国立にこうした建材店を開設することになったん です。
店では商品の販売もしていますが、とにかく自然素材を知ってもらうことが大
切だと思っています。
ここに展示してある商品は、すべて私たちが生産者とコンタクトを取って、間
違いのない自然素材を使った建材だけを扱っています。
自然素材と表示してある建材が数多くで回っていますが、規制対象になってい
ない化学物質が使われていたり、微量であれば有害物質であっても表示してない
など、信用できないものも多いんです。
化学物質過敏症の人は微量でも反応してしまいます。ですから、すべてルーツ
まで辿って安心できる商品だけを扱っています。
和紙は壁紙に最適ですが、高くてなかなか使えないという現実があります。そ
こで、ネパールの手漉き紙を扱いました。
現地までわれわれが出向き、生産している人とコミュニケーションを取ってい
ますので、安心です。フェアートレード(公平貿易)を推進している団体と組ん
で輸入しています。
そうすることで、日本の和紙よりも安価で、安全な自然素材の壁紙が提供でき
ます。また、ネパールの生産者の方たちの生活向上にも貢献できるのです」。
Hさんの話を聞いていると、単なる建材の話にとどまらず、奥行きの深い話に
広がっていく。
レイン・ファームが扱っている商品を紹介すると、自然の塗料、接着剤、ワッ
クス、パテ、コーキング材、日本及びネパールの手漉き紙、バングラデシュ及び
ドイツの壁紙、貝灰しっくい、土壁、無垢材、ガラス建材などである。
これらの商品のすべてを、生産ルーツまで辿って、信頼性を確認しているとこ
ろがすごい。扱っている商品ひとつひとつに“物語”があるのだろう。
別の角度からみると、本物の自然素材を見つけるのが、困難な時代であり、わ
れわれの生活がかなり自然界から乖離してしまっている、ということでもある。
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