アレルギー、化学物質過敏症の人たちの建材
自然素材を徹底追及している――小さな建材店<2>
自然建材店レイン・ファーム(東京都国立市)は、アレルギー、化学物質過敏症の人たちの建材と銘打っているだけに、素材の選択を徹底している。
「10年ほど前から化学物質過敏症の方からの相談を受けることが多くなり、どのような建材が安全であり、設計をどうすればよいかなどを研究してきました。
まず、患者さんたちの生活調査をはじめ、室内環境学会、臨床環境医学会などの文献調べ、ドイツやオーストラリアで治療にあたっている医師を訪ね、実態を調査しました。
そうしたなかで、自然素材といっても流通の段階で、化学物質が混入されたりすることがあるため、安全な建材を生産している生産者から直接、仕入れることにしています」と保坂さんはいう。
たとえば、無垢材の柱でも防腐処理した材の隣に置いてあったというだけで、化学物質過敏症の人のなかには反応してしまうケースもあるという。
細心の注意を払って建材を選択しているのであるが、化学物質過敏症患者専門の建材店ではなく、健康志向のユーザーに安全な自然素材を供給していくのが基本姿勢である。
「あまり化学物質過敏症の話をして、怖さばかりを強調しても意味がありません。また、理想だけ語っていても現実性がなく、自然建材も普及しませんし、ビジネスにもなりません。
とにかく、自然建材にもいろいろなものがあることを知ってもらいたい、自然なものと共生することによる健康な住まい方をアピールしていきたいと思っています。
いま内装の塗り壁に人気があるため、ビニールクロスの壁紙を剥がしたい、といってくる人がいます。そうした人には“粘土の塗料”といっているものを薦めることもあります。 この“粘土の塗料”はビニールクロスの上に直接塗ることができます。これなどは左官屋さんからみれば邪道ですが、お客さんには喜んでもらえます。
また、自然建材は高いと思っている人が多いんですが、決してそのようなことはありません。一般の建材と同様な価格の自然建材をたくさん当店では扱っています。 このへんのお客さんの意識も変えてもらいたいです」。
◎装飾ガラス
レイン・ファームでは装飾ガラスも扱っており、用途は多彩で塗り壁に埋め込んでアクセントにしたり、タイルとしてテーブルカウンターなどに敷き込んでもいい。
このガラスはリサイクル品として、Hさんが“開発”したものである。
「このガラスの元は、蛍光灯です。蛍光灯のガラスは透明度も高く良質なんですが、水銀が含まれているためリサイクルが難しいという問題があります。
そのため、リサイクルが遅れているのですが、いろいろ探して金沢で蛍光灯のガラスをリサイクルしている業者を見つけたんです。
その業者にお願いして、当店のオリジナル商品として製作してもらっています」。
この取材をしているときに、たまたま宅配便で、そのガラスが届いた。さっそく箱を開けてみせてもらうことにした。
中から出てきたのは、大きな板状で円形や四角形の装飾ガラスであった。生産者とコミュニケーションを取り、信頼関係を築いて、安全で安心できる建材を扱うという姿勢がここにも活かされており、納得させられた。
例えが適切かどうか分からないが、「○○さんが生産したジャガイモ」といった無農薬野菜が消費者の間で人気を呼んでいるのは、生産者と消費者が近づくことで、近親感と信頼が増すからであろう。
同店が扱っている自然建材も同様なスタンスにあるといえる。それは、自然建材に関心のある人たちと「土間たたきのワークショップ」といったイベントを実施したりしているからである。
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