輸入住宅がわが国のライフスタイルに与えた影響
〜欧米志向に違和感がなく、生活提案が求められている〜
◎輸入業務の管理が重要である
輸入住宅の分野では老舗といえる東急ホームであるが、これまでの経験から、 輸入住宅がユーザーのライフスタイルに与えた影響にどのようなものがあるのか、 S資材部長にインタビューした。
「輸入住宅が登場した10数年前に比べると、わが国の生活レベルは着実に向上
してきました。それと共に欧米スタイルの生活様式の方が暮らしやすいというこ
とがユーザーに認識されてきたと思います。
まず、住空間が開放的になりました。料理や食事を楽しむようになるとキッチ
ンが表に出てきて、空間の主役になってきます。階段なども玄関ホールやリビン
グルームに設置され、空間に変化と余裕を持たせるものになってきています。
当社のお客さんは24時間空調システムを導入する人が多いのですが、年間を通
じていつも快適な室温が保てます。それは、寝具が少なくてすみます。昔のよう
に冬用の布団など必要ないわけです。そうなると、押入も必要なくなり、クロー
ゼットという収納スペースが便利になります。
輸入住宅が導入された頃、応接間など必要ないし無駄だという人が多かったの
ですが、ここにきて敷地に余裕があれば、あった方がいいといいます。知人など
を家に招く機会が増えたからです」。
我々日本人のライフスタイルが欧米に近づくにしたがい「ここまでやらなくて
もいいのではないか」と思った欧米志向が、いまでは違和感のないものになって
いるという。
東急ホームは、直輸入と日本の代理店からのふたつのルートから輸入部品を調
達している。直輸入しているものはドア、フローリング、造作材、キッチンキャ
ビネットなどである。北米のメーカーから直接購入しているものが多いようだ。
「初期の頃はすべて直輸入していた時期もあり、ランバーまで扱っていました。 受注計画に基づき発注するわけですが、嗜好性の強いものは不良在庫になること もありました。そのうち輸入代理店も増え国内でも調達できるようになり、直で 入れるメリットがないものは代理店経由で調達することにしました。この間の試 行錯誤やノウハウは貴重でした」。
同社では採用していないが、ビルダーのなかには1棟単位でパッケージ輸入す るという方法と取るところもあった。パッケージ輸入というのは、アメリカやカ ナダのディストリビューターとタイアップして、1棟分すべての部材・部品を揃 え、ケースによっては躯体もパネル化して、コンテナーで建設現場まで搬入する というものである。
大幅な省力化、合理化が図れるとして注目されたし、実際にそのメリットを前 面に出して営業展開したビルダーもいた。しかし、今もパッケージ輸入を続けて いるビルダーはほとんど見られなくなった。その原因は長く続いた“住宅不況” と為替の高い低いが直接住宅価格に影響を及ぼすため、発注のタイミングなど相 当高度な管理能力が問われるようになったからである。
輸入住宅に関心のあるユーザーは家具、インテリア用品も輸入物で揃えたいと いうニーズが強い。
「当社でも輸入家具に力を入れた時期がありました。生活シーンをトータルで
提案するコンセプトを打ち出したかったからです。ですが、やってみて難しいこ
とを痛感しました。あまりにも嗜好が強いため、ニーズに見合った在庫が大変な
んです。とても自社消費分だけ扱う程度の量では採算に合いません。
ビルダーが片手間でできる仕事でないことが分かり、大塚家具と業務提携して、
お互いのコラボレーションで生活シーンを提案することに切り替えました。この
提携は非常に良かったと思っています」。
いかに生活シーンまで提案できるかが、多様化、個性化する住宅ニーズに応え るカギといわれているが、家具、インテリア用品の分野は奥が深いようだ。
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