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UPDATE: '06.03.20

古材を使ってみたいという人は着実に増えている
 〜 古民家の古材は先人の残してくれた“貯金”である 〜

 埼玉県の工務店「家づくり工房」は古材をストックして販売する「埼玉古材ギ ャラリー」を運営しています。家づくり工房の取締役落合伸光さんはその動機を 次のように語っています。「3年ほど前からきちんとしたかたちで古材を扱いた い始めました。余技ではなくビジネスとして成立させたいう思いもありました」。 同社の民家再生・古材利用の主旨は次のようなものです。

 「現代の住まいは、便利さや快適さと引き換えに多くのものを失ってきたよう な気がします。ただ、ここにきて、古材の持つ時間が癒しになるのか、民家の再 生や移築、部材利用など建築ではあまり使用されなかった材料を上手に使って住 まいや店舗を計画する方が少しずつ増えてきました。

 民家が解体される理由は『古臭い、寒い、間取りが悪い、水廻りが使いにくい、 近所が建て替えたから』などなど、住まわれている方の事情により色々です。せ っかくの部材も解体された後にゴミとして焼却処分され、その後にはプラスチッ クや化学系接着剤を多用した最近の建築スタイルの住まいに代わられます。

 いま、環境や健康に負荷のかからない家とか、化学物質が少ない家とかマスコ ミでも取りあげていますが、日本の建物は、ほんの50年前までは、土、植物、樹 木など自然素材だけで創られていました。便利な石油化学系の新建材利用は大量 生産、大量消費の流れの中で加速し、シックハウス問題にまで発展しました。ま た、新建材は将来の解体時の処分でも、ダイオキシン発生などの問題を含んでい ます。

 囲炉裏で百年以上も燻煙乾燥された、何代もの家族によって住み継がれた部材 はもちろんですが、30〜40年前の建材も使い方によって、十分再生可能な素材と して生まれ変わります。  わたしたちは、今後とも風土に合った民家の考え方、現地再生、古材の素材利 用を積極的に提案していきたいと考えています」。

 こうした主旨で埼玉古材ギャラリーをオープンして以来、古材を欲しいという 人は着実に増えているといいます。特に、古材にアンティック的な魅力を感じて いる人が多く、戸建て住宅に限らず、古材を活用したマンションリフォームにも 人気があるようです。

 ところで、古材に関心のある人にとって気になるのは、こうした古材を扱う販 売店ではどのような部材・資材が販売されていて、どのくらいの価格なのか、と いう点ではないでしょうか。

 埼玉古材ギャラリーの例でみると、 「古材は主として新潟、福島、埼玉方面の築100年以上の古民家の構造体です。 解体後、運搬してきて釘抜きし、磨きをかけてギャラリーにならびます。  価格は材の太さ、長さ、形状によってさまざまです。例えば、太さ20cm、長さ 2.7m、形状やや曲がり有りの場合、ケヤキ5万円〜、雑木4万円〜、松3万円〜、 杉2万円〜が目安です。常時400本程度の在庫があります。必ず現物をご確認の 上購入検討してください。図面などがある場合は持参いただければアドバイスし ます」としています。

 必ず現物を確認してください、とあるのは新材と違い古材の場合、どれひとつ 取っても同じものがないからです。自分で見て触って納得して購入するというこ とです。

 また、落合さんは古材を活用していくにあたって、  「これまで、古民家も一般的な住宅が取り壊されるのと同様に、ほとんどがミ ンチ解体され廃棄されてきました。こうした風潮が見直されてきたことは評価し なければなりません。古材として再利用できる材は古民家からのものが中心とな ります。戦後の建物は金物や接着剤が多用されているので、現実的に再利用する ことが難しい状況にあります。

 われわれが古材から学べることは、現在建設されている建物も、100年後にい まの古材のように再利用できるシステムを構築しておかなければならないという ことではないでしょうか」。

 筆者もふくめて、落合さんの指摘に賛同する人は多いことでしょう。そうした 観点からすると、古民家の古材は先人の残してくれた“貯金”のような気がしま す。それをいま活用できることに、われわれは感謝しつつ、将来にツケを残さな いために資源循環型社会を構築していかなければなりません。